bookmark_border父の柳行李

今日のこの1品。
父の柳行李です。

柳行李とは、今でいうスーツケースですね。

実家に行った際に、母から
「あんた、コレ使う?」
と母が使わなくなったバッグやら服やらについて問われるというのが、我が家のあるあるなのですが、先日実家に行った際にも同じワードを聞かれて見せてもらったバッグがわたしの趣味ではなかったので
「なんか、柳行李とかあれば欲しいんだけど」
と、ふと言ってみたら、まさかの
「柳行李?あるある!お父さんの上京グッズが(笑)!」
というわけでこちらが出てきました。

父は新潟の出身なのですが、10代で上京して造船所で働いていたことがあるらしく、その時にこの柳行李を背負って出てきたみたいです。
蓋の裏にデカデカと筆で書いたらしき名字が書いてあります。
その後、母のところに婿として来た父は名字を母の姓に変えているのですが、父の旧姓と母の名字の最初の漢字が一緒でして。

例えていうなら、磯野カツオが婿に来て磯山カツオになったような違いでして、最初の頃絶対間違えて旧姓書いちゃっただろうなぁと思います。

それはさておき、上京グッズが入っていたというのはその通りだったようで、長く押し入れに入れっぱなしになっていたこちらの柳行李の中からは工業高校の教科書とかネジやら釘やら出てきました。
それと一緒になにやら書類のようなものが入っていると思ったら、米穀通帳なるものが出てきました。


「てぇー!米穀通帳が入ってるよ!昔はよぅ、これが無かったら米が買えなかったんだかんな」
と、さも大事なものだったように言っておりましたが、どこかに「再発行」の印が押されており
「いや、一回無くしてんじゃん」
というオチでした。

米穀通帳に当時父が住んでいた住所が書いてあったのでストリートビューで調べて見せてみましたが、面影はないようです。
まぁ50年前とかですからね、そりゃあ街も変わりますね。

そんな柳行李は我が家のパントリーになんともジャストフィットするお誂えサイズ。

父母的には、こんな古めかしいもののどこがいいのか…という感じのようですが、カゴ好きのわたしからするととってもグッドデザインで、年代物ならではの新品には無い良さもありますし、父が使っていたものの数十年間物置の住人になっていた柳行李に新たな活路を見いだせた嬉しさもあり。
ほかにも数年前からいろいろな古いカゴ類で良さげなものを見繕ってすでに実家から貰ってきていたのですが、わたしも実家に柳行李があるのは知らなかったので、言ってみるもんだな、と思いました。

物置から我が家に来た柳行李は今は次に使うタオルなどを入れるために使っています。
その時代のスーツケースだけあって収納力はあるので、嵩張るモノの収納にも良いかもしれません。
天然素材なので、ぎゅうぎゅうにいれてフタが膨らんでも閉まるという利点もあったみたいで、なかなか理にかなってますね。

そしてこの隅っこに米穀通帳も入れておいてあります、なこの1品。
今日もこのコに首ったけ。

次回のこの1品は「明治のチョコ」です。
また次回。

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bookmark_border祖父の踏み台

今日のこの1品。
祖父の踏み台です。

いつ作ったのかはっきり分かりませんが、祖父が亡くなってから半世紀以上経っているので、それより前ですね。
もし今、ちょっとした踏み台とか脚立が必要だったら、間違いなくホームセンターに行ってちょうどよさげなものを買ってくると思うのですが、祖父の時代は無かったら作るというのが当たり前だったんでしょうね。

わたしが生まれる前に亡くなっているので、この踏み台を作った祖父にわたしは会ったことがないのですが、実家にいくつか祖父が手作りで作ったものがあり、引っ越しするときにもらってきました。

この踏み台は長らく実家に置いてあったのですが、廊下の隅の方で置物と化して風景の一部になっていて、あまり使われているのを見たことがありませんでした。
わたしが小さい頃は祖母が使っていた足踏みミシンなども置いてあったので、ミシンをする際の椅子代わりになっていたのかもしれません。
当時は足踏みミシン以外にも将棋台とか座卓とかそれなりに年季が入った昔のものがいくつかあったので、この踏み台だけ目立つということはなかったのですが、いつの間にかミシンがなくなり、わたしも実家から出て、その後時間が過ぎて、甥っ子姪っ子のプラスチックのおもちゃなど今風のものが廊下の隅に置かれるようになると、途端にこの年季が入った踏み台のシブさが目立つようになりました。

そういえばこの踏み台、昔から置いてあるけど改めて見ると意外とカッコイイなぁと思い、相変わらず実家では使ってなさそうだし、新居で使うのに貰っていいかと母に聞くと
「ああ、それね。おじいちゃんが作ったんだよ。持って行っていいよ。」
と言われました。

そうか、祖父が作ったものだったのか、とその時初めて知りました。
使ってないけど置いたままになっていたのは亡くなった祖父が作ったものだったからなのか、と腑に落ちた気がしました。
実家にそのまま置いといたほうが良いのかなとも思いましたが、置いたままになるよりも使った方がいいかと思い、ありがたく貰ってきた次第です。
ずっと使っていなかったので埃などで薄汚れていましたが、拭いてみると木の表情が出てきました。
以来、我が家では通称「おじいの脚立」という名前で踏み台として活躍してもらっています。
がたつきもせず、安定感もあるので高い位置にあるものを取るときに便利に使わせてもらっていて、おじいの脚立さまさまです。

しかも穴の部分が六角形になっているところが、おじい、ナイスセンス!と孫は思っています。
祖父は図画工作が得意だったようで実家に置いてあった小中学校の頃の絵がとても上手でした。
三姉妹の長女である母が高校生の時に祖父は亡くなっているので、8人いる孫は誰一人祖父と会ったことはありませんが、絵のうまさに関してはいとこが引き継いでくれています。

祖母曰く、祖父は頭も良かったみたいでとても勉強が出来たとのことでしたが、どうやら頭の良さは母たち三姉妹までで止まっており、孫で受け継いだものがどうにも見当たらないので、わたしは踏み台の穴を六角形にするセンスあたりを引き継げて入れていればいいなあと思います。

六角形の意味は調和と安定、なこの1品。
今日もこのコに首ったけ。

次回のこの1品は「猫モチーフ」です。
また次回。

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