bookmark_border祖父の本棚

今日のこの1品。
祖父の本棚です。

うちにある一番古いものだと思われる昭和9年作の祖父手作り本棚。
高二と書かれてあるのですが、今で言う中学生のことのようです。
この本棚を見て一番驚いたのは、名前がアルファベットで書かれていることでありまして、昭和9年にアルファベットを習っていたのかしら?と思うと不思議です。

日本の英語教育の歴史からすると、どうやら昔の方が進んでいたようで、1853年にペリーさんが「国を開けなさーい」と来航してから、海外の文化がいろいろと入ってきたことにより、ちょんまげしている場合じゃない!西洋に追い付け追い越せ!という流れになり、まずは英語が出来ないと、ということで小学生に英語教育していたこともあったようです。
その後戦争もあったりしたので、敵国の言葉使うべからず的なことになって英語から離れて、戦後また英語教育始まって…という流れのようです。

というわけで祖父が自作の本棚にアルファベットで名前を書いた昭和9年は西暦で言うと1934年で戦前なので、まだ英語の授業があったんでしょうかね。
祖父よりもたぶん5歳くらい年下の祖母はアルファベットを書けなかった記憶があるので、そこにボーダーラインがある際どいタイミングだったんだろうなと思います。

そんな時期に作られたこの本棚は釘を使っていないせいか、少々グラついております。考えてみれば90年近く前のものですからね、普通に使う分には問題なく使えますので、わたしが生まれるよりもずいぶん前に亡くなっていて会ったことのない祖父の作った本棚に、今後のわたしの生涯に寄り添っていただくことにします。

ひとつ難があるとすれば、文庫サイズの本が置ける作りになっていないことなので、底板を置いて使っております。

デザインは、ハイビスカスらしき花を背負ったセントバーナードらしき犬、宙に浮くラッパ、向き合う蝶という繋がりがよく分からない謎解きのようなデザイン。
何かお手本があって、クラス全員がこのデザインの本棚を作ったとは考えにくいような気もするので、祖父が好きなものてんこ盛りによるカオスなデザインなのかもしれません。
よく分からないデザインですが、会ったことのないご先祖の中で一番身近な祖父作ということもあり、わたしにとってはなんだか愛着のあるデザインとなっています。

英語なんぞ敵国語じゃ!時代は、カレーライス=辛味入汁掛飯、なこの1品。
今日もこのコに首ったけ。

次回のこの1品は「琺瑯容器」です。
また次回。

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bookmark_border祖父の踏み台

今日のこの1品。
祖父の踏み台です。

いつ作ったのかはっきり分かりませんが、祖父が亡くなってから半世紀以上経っているので、それより前ですね。
もし今、ちょっとした踏み台とか脚立が必要だったら、間違いなくホームセンターに行ってちょうどよさげなものを買ってくると思うのですが、祖父の時代は無かったら作るというのが当たり前だったんでしょうね。

わたしが生まれる前に亡くなっているので、この踏み台を作った祖父にわたしは会ったことがないのですが、実家にいくつか祖父が手作りで作ったものがあり、引っ越しするときにもらってきました。

この踏み台は長らく実家に置いてあったのですが、廊下の隅の方で置物と化して風景の一部になっていて、あまり使われているのを見たことがありませんでした。
わたしが小さい頃は祖母が使っていた足踏みミシンなども置いてあったので、ミシンをする際の椅子代わりになっていたのかもしれません。
当時は足踏みミシン以外にも将棋台とか座卓とかそれなりに年季が入った昔のものがいくつかあったので、この踏み台だけ目立つということはなかったのですが、いつの間にかミシンがなくなり、わたしも実家から出て、その後時間が過ぎて、甥っ子姪っ子のプラスチックのおもちゃなど今風のものが廊下の隅に置かれるようになると、途端にこの年季が入った踏み台のシブさが目立つようになりました。

そういえばこの踏み台、昔から置いてあるけど改めて見ると意外とカッコイイなぁと思い、相変わらず実家では使ってなさそうだし、新居で使うのに貰っていいかと母に聞くと
「ああ、それね。おじいちゃんが作ったんだよ。持って行っていいよ。」
と言われました。

そうか、祖父が作ったものだったのか、とその時初めて知りました。
使ってないけど置いたままになっていたのは亡くなった祖父が作ったものだったからなのか、と腑に落ちた気がしました。
実家にそのまま置いといたほうが良いのかなとも思いましたが、置いたままになるよりも使った方がいいかと思い、ありがたく貰ってきた次第です。
ずっと使っていなかったので埃などで薄汚れていましたが、拭いてみると木の表情が出てきました。
以来、我が家では通称「おじいの脚立」という名前で踏み台として活躍してもらっています。
がたつきもせず、安定感もあるので高い位置にあるものを取るときに便利に使わせてもらっていて、おじいの脚立さまさまです。

しかも穴の部分が六角形になっているところが、おじい、ナイスセンス!と孫は思っています。
祖父は図画工作が得意だったようで実家に置いてあった小中学校の頃の絵がとても上手でした。
三姉妹の長女である母が高校生の時に祖父は亡くなっているので、8人いる孫は誰一人祖父と会ったことはありませんが、絵のうまさに関してはいとこが引き継いでくれています。

祖母曰く、祖父は頭も良かったみたいでとても勉強が出来たとのことでしたが、どうやら頭の良さは母たち三姉妹までで止まっており、孫で受け継いだものがどうにも見当たらないので、わたしは踏み台の穴を六角形にするセンスあたりを引き継げて入れていればいいなあと思います。

六角形の意味は調和と安定、なこの1品。
今日もこのコに首ったけ。

次回のこの1品は「猫モチーフ」です。
また次回。

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